2005年、海上自衛隊横須賀音楽隊の委嘱で作曲され、5月に完成したマーチ。同年7月24日、三重県の桑名市市民会館で行なわれた同音楽隊のふれあいコンサートで小林一孝1等海尉の指揮で初演された。 タイトルの「剱の光(つるぎのひかり)」は、海上自衛隊横須賀基地に近い三浦半島南東端の岬にたつ“劔崎灯台”の“劔”の字からヒントを得た。 東京湾口、浦賀水道の関門である劔崎の灯台の灯は、湾を出入りする海上自衛隊の艦船にとっても大きな道標(みちしるべ)。 江戸時代、嵐の日に幕府の官材を積む船が沈み、龍神の怒りを鎮めようと神主が剱を海に投げ入れると、すぐに海が静まって積荷が浮かび、それが地名の由来となったと伝わる劔崎の地。この地にあった神社では、かつて雷鳴がとどろく日に剱に落雷させて魂を入れる風習があったとも伝わるが、曲とこれら伝承との直接の結びつきはない。 航海の無事を祈り、劔崎の地にたつ白塗りの灯台からイマジネーションを膨らませたこの作品は、様々な色彩の変化をみせる大いなる海と、白波をたて颯爽と進む船の姿がモチーフとなった。 ロイヤルな輝きとノーブルなフレーズ・ラインも印象的! 使用打楽器もごくシンプルであることから、室内だけでなく、屋外での演奏やマーチングなど、さまざまな演奏シーンにもOK。 コンサート等のオープニングにぴったりの、BP一押しのマーチです! 【酒井 格】 1970年3月24日、大阪府枚方市に生まれる。大阪音楽大学に学び、1996年に同大学院作曲専攻修了。作曲を千原英喜と田中邦彦、ピアノを前田則子と青井 彰、フルートを中務晴之の各氏に師事。大阪音楽大学附属音楽学院や京田辺市のそよかぜ幼稚園に勤務。各種イベントの作・編曲を担当したり、ピアニストとしても演奏活動を行っている。1988年作曲の『たなばた』で大きくブレーク。オランダのデ・ハスケ(de haske)社をはじめ、出版各社から数多くの作品が出版されている。 (2010.01 BP編集部)
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